繋がらない無線LAN

家や事務所で無線ルーターを設置したけども、箱書きよりも圧倒的に届く距離が短い!とか
電波強度は強いけど頻繁に切断されて使い物にならない!
なんてことありませんか?

今回は、国内で使われているWi-Fi電波の特徴をお話していきますので
原因の切り分けなどにご利用いただければ幸いです。

対処方法・回避方法は別の投稿で書く予定です。

2種類の周波数帯を知っていますか?

別の投稿でWi-Fiの規格について書いてみましたが、
そこで規格によって使用している周波数帯が異なっています。

その周波数帯とは…2.4GHz帯と5GHz帯の2種類です。

電波は発生源から距離が遠くなるほど電波強度(密度)が下がります。
そして、減衰率は電波の周波数が高い方が大きくなります。
加えて、障害物があった場合の回り込みやすさは周波数が低いほうが強くなっています。

つまり、2.4GHzの方が遠くまで届き(通信品質が担保される強度で届く)、
障害物にも強いと言えます。

周波数帯 減衰率 到達距離 対象外物
2.4GHz 小さい 長い 強い
5GHz 大きい 短い 弱い

あれ? 5GHz帯に良いところがありませんね…

干渉しやすい2.4GHz帯

距離も届くし、障害物にも強い2.4GHz帯ですが、大きなデメリットがあります。
それが干渉です。

電波は近い周波数同士は干渉し、干渉を受けたWi-Fi電波は通信品質が落ちます。
2.4GHz帯はWi-Fi以外にも多くの無線機器(※1)の通信に使われたり、
電子レンジやIH調理器具も近い周波数の電波(電磁波)を発生させるため、干渉を起こします。

※1…コードレス電話やBluetooth機器

近いchのWi-Fiは干渉し、電子レンジは2.4GHz帯の広いchに干渉する

隣家との距離が近い場合や、集合住宅で各部屋にWi-FIルーターが設置されていると
強い強度でWi-Fi電波が入ってくることになり、これもまた干渉を起こす原因になります。
遠くまで飛ぶ、障害物に強いメリットが他人の電波に関してはデメリットになってしまいました。

電波干渉を受けて通信品質が落ちると、
通信速度が著しく低下したり、電子レンジ等が原因の場合はWi-Fi切断も起こります。

5GHzも停波 DFS

5GHz帯は2.4GHz帯と比べて干渉を受けにくい周波数ですが、
Wi-Fi専用の周波数帯ではなく、競合相手がいます。
気象レーダー、航空機レーダーなどのレーダー装置です。

Wi-Fiよりもレーダー装置の方が優先度が高く、
Wi-Fiルーターはレーダー派を検知した場合に
検知したch(周波数)の電波を30分間利用停止にします。

更に、検知したchがデータ通信に使用していたchだった場合、
chを変更するために1分間干渉が無い事を確認するスキャンを実行し、ch変更を行います。

このレーダー派の検知と、自動的にchを変更する機能がDFSという機能です。
DFSが働くと1分程度 Wi-Fiが途切れ、『あれ?』と首を傾げているとWi-Fiが回復するといった
症状が起こります。

屋内には障害物がいっぱい

最後に、Wi-Fi電波の到達距離を短くする要因の障害物について。

2.4GHz帯の電波が5GHz帯に比べて障害物に強いといっても、その影響は小さくありません。
部屋を仕切る壁や、階を仕切る壁・天井の影響はとても大きいものでした。
こちらのサイト で2.4GHzが受ける影響についてまとめていました。

障害物 損失[db] 有効距離
障害物なし 0 100%
窓(着色・金属なし) 3 70%
窓(着色・金属あり) 5~8 50%
木壁 10 30%
内壁(厚さ15.2cm) 10~20 15%
耐圧壁(厚さ30.5cm) 20~25 10%
コンクリート床・天井 15~25 10~15%
鉄筋コンクリート 20~25 10%
引用元:https://help.keenetic.com/hc/en-us/articles/213968869-Wi-Fi-signal-attenuation-coefficients-when-passing-through-different-materials

これら障害物を超えると電波の有効距離は大きく変化します。
表の測定周波数が2.4GHzとという事なので、5GHzはもう少し影響が大きいのではないでしょうか。

今回はWi-Fiが届かない、途切れる要因になる
距離、干渉、DFS、障害物について書いてみました。
次回以降でこれらの対策について書いていこうと思います。

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